「グリーナ、手を貸して!」
「え? きゃっ」 街中で唐突にソールに手をとられ、グリーナは目を丸くした。 そして、自分の指にはめられたものを見て、再び驚く。 「ソール……これ……?」 「祈りの指輪。さっき福引で当たったんだ」 いかにも嬉しそうに、ソールは言った。 「綺麗なだけじゃなくて、精神力を回復させることもできるんだっていうからさ、グリーナにピッタリだと思って」 「え……でも、ジオは? ジオだって、呪文を使うのに」 「ジオの奴も、『グリーナに渡しなよ』って言ってた。だから遠慮は要らないよ」 屈託なくソールは笑う。 グリーナはしばし瞳を瞬いていたが、やがて、その顔に微笑みが広がった。 「ありがとう。嬉しい……」 ***** (……ソールは気づいているのかしら。私が嬉しく感じた、もうひとつの理由に) 心の中で、グリーナはそっと呟いた。 ――『左手の薬指』に輝く指輪を、いとおしく見つめながら。 |